ネット社会の怖さ~子ども達を守るために~
◆ SNSの危険 犯罪の温床へ ◆
先日、埼玉県内の住宅街で小6女児が携帯電話に自殺をほのめかすメモを残し、住宅の敷地内で死亡していたとの報道がありました。
また、神奈川県内のアパートの一室で、男女9人もの遺体が発見され、27歳の男が死体遺棄で逮捕されたという、犯罪史上類のない猟奇的な残忍な事件として大々的に報道されています。
この殺害された被害者の中には女子高校生3人も含まれており、ほとんどの被害者とはインターネットの「自殺サイト」で知り合い、SNSでやり取りをした上に犯行に及んだと報道されています。
犯人は、被害者の本名すら知らなかったといいます。
インターネット上で知り合い、匿名性の高いSNSで交流する場合は、個人の詳しい素性は分かりません。
また、閉ざされたツールのため外部の目も行き届きません。自殺願望を書き込んでも、表現の自由もあり、法的規制の対象にはなっていない実情があるようです。
◆ このような状況にはどう対応するか? ◆
外部の目が届きにくいツールは、犯罪の温床になる可能性が非常に高く、心のブレーキが効きにくい未成年の場合は、今回の事件のように、より深刻な事件・犯罪に巻き込まれる可能性も否定できません。
そのため、児童・生徒のスマートフォンやタブレット端末の利用を制限したり、判断力を高めるトレーニングなど、保護者が対策を講じることも必要になります。
もちろん、保護者の中にも、デジタルデバイスの危険性を認識しないまま子どもに機器を与えていることもあります。そのため、あらためて学校側から保護者に対し、以下のような対策を呼び掛けてみてはいかがでしょうか。
① フィルタリングの利用
フィルタリングは、危険なサイトへのアクセスをブロックするサービスです。現在では、保護者が不要と申し出ない限り、18歳未満の者が使用する携帯端末にはフィルタリングが導入されています。スマートフォンの場合には、フィルタリングのほかに、アプリの制限やウイルス対策の導入、課金の制限等が必要です。
② 子どもたちの判断能力を高める
子どもたちの判断能力を育てるためには、子どもと話し合ってルールを決め、ルールを学ばせながら少しずつ自分で判断できるように広げていくようにしましょう。依存利用防止策につては、1日のネット利用時間を決めたり、携帯電話使用を家庭での目の届く場所(居間など)に限定するなどしましょう。
③ ゲーム機や音楽プレーヤーの利用にも注意
最近では、ゲーム機や音楽プレーヤーなどスマートフォンと同様にインターネットを利用できる端末が多くなっています。保護者がパスワードを入れて機能を制限することが求められます。また、子供が家庭の携帯電話等を使用してメールやゲームをしたりすることがありますが、危険なサイトにアクセスしたり、高額な有料サービスを利用したトラブルなどが生じていますので 、端末の利用については十分注意することが必要です。
◆ メンタルをケアする ◆
どんなに機器の設定によって危険なサイトへのアクセスをブロックしても、心に深刻な悩みを抱えていた場合は防ぐ手立てがありません。
特に昨今、SNSの利用が児童・生徒等にも広がることにより、目に見えにくいいじめや様々な犯罪が増加傾向にあるようです。
家庭で子どもの変化に気付いた場合、いじめにより悩みを抱えている、犯罪に巻き込まれそうになっているといった状況が発生している可能性もあります。
その場合は、早めの連携・対応が必要ではないでしょうか。
また、児童・生徒等だけでなく保護者や先生も利用できる、匿名かつ無料で相談できる公的な窓口もあります。
このような窓口があることを保護者に知らせておくことも必要ではないでしょうか。
◆ 主な相談窓口 ◆
参考に、公的な相談窓口をいくつか掲載します。
① 24時間子どもSOSダイヤル
電話:0120-0-78310(24時間受付)
② ヤング・テレホン・コーナー
電話:03-3580-4970(24時間受付)
③ 東京都児童相談センター
電話:03-3366-4152(月~金:AM 9:00~PM 9:00、土・日・祝:AM 9:00~PM 5:00)
④ 警視庁総合相談センター
電話:#9110(都内以外からは、03-3501-0110まで)
⑤ サイバー犯罪対策課
電話:03-3431-8109
受付時間:AM 8:30~PM 5:15まで(平日のみ)
その他、あなたの町の警察や少年センターでも受け付けています。
依存性の強い子ども達は、一度ネットを覚えてしまうと、正確さよりインターネット上の早い情報を信じてしまう傾向にあります。
正しい情報を見極めるサポートをすることが、保護者はもとより、教職員にも求められています。
子ども達の健やかな成長を願うためにも、当機構では情報リテラシーに関するアドバイスも実施しておりますので、是非ご活用ください。
この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。