学校の評判の低下を最小限に抑えるために
今回は、日ごろ学校の先生方と関わる中で感じる「変化」についてお話ししたいと思います。ここ数カ月、学校現場で起こるトラブルの質と量が変化しているように感じます。それはどのような変化なのか、学校側ではそれに対し、何をするべきなのか。このようなことを考えるきっかけとしていただければと思います。
潮目が変わっている
昨年の秋頃から現在まで、教職員や生徒・児童及び関連業者等を含む学校業界に係わるトラブルが不思議なほど多発しています。学校リスクマネジメント推進機構を立ち上げ、今年で12年目に入りますが明らかに潮目が変わっているように感じています。
これらのトラブルは報道されているものも幾つかあるのですが、その中には私が直接、マスコミ対応や警察対応、保護者対応などを支援している事案も幾つかございます。
幸い、私が対応している事案は危機管理が成功し、メディアへの露出やネットへの書き込み、学校批判等の被害は最小限に抑えられているのですが、それでも別の問題が一つございます。それは、我々が休む暇がないほど、会員からの相談やトラブル対応の依頼が増えているということです。
これは忙しさに関する私の単なる感想なのではなく、それくらい潮目が変わり、何かが変化しているということなのです。
現在の環境要因を加味すると、恐らくこのような傾向は続いていくと思いますし、さらに激しくなってくると考えております。つまり、学校がトラブルに巻き込まれやすい傾向が続くということです。
このような環境の中で対応が後手に回ってしまう学校や教職員は、後に甚大な損失を受ける可能性があるのです。
では、今、何をすればよいのでしょうか?
ここでは役に立ちそうな3つの方法を紹介します。
【1】リスクの洗い出し
これは教職員全員で行うことをお勧めします。簡単なやり方としては、参加者がそれぞれの立場から「これはリスクである」と感じているものを5つ位ピックアップして紙に記入します。具体的には、「現状こういうことがあるため、この先このような影響が考えられる」という観点で記入します。最悪の状況を想定することがポイントです。
その後、それぞれのリスク対策を考えてグループでシェアし、情報を共有します。これは想定外のできごとを少なくすることに役立ちます。
【2】脇を締める
これは自分が置かれている現状に危機感を持って日常業務や私生活を送るということです。たとえば、生徒指導、保護者・子どもへの対応、また、法律への対応や道義的な責任に至るまで、特に注意し、今まで後回しにしていたことについてもこの機会に実行していきます。
私生活の乱れを正すことも教職員としてとても大切なことです。
【3】万が一の体制を事前に整備しておく
これは、トラブルが発生した時の学校や自分の動きを事前に決めておき、定められた枠組みの中で対応ができるようにしておくということです。大きな失敗を避けやすくする効果があります。
しかし、トラブルは様々な形で発生するため、あまりにも固まった枠組みを作成してしまうと、逆に自らの首を絞める結果を招いてしまうので注意も必要です。
潮目が変わる時こそチャンス
以上、3つの対策を説明してきましたが、学校を取り巻く環境が変化し、潮目が変わっているということは逆に考えると、危機管理体制を見直す絶好の機会ということです。
普段、後回しにしていることを実行するために、この機会を生かせるかどうかが大切です。
今のあなたの判断が学校や子どもたちの未来を左右するのです。
私は教職員や生徒等が逮捕されたり、命を落としたり、また、トラウマを抱えて学校を去ったりする姿を何度も見てきました。
ハードな保護者対応が半年以上も継続し、心が病んでしまう人も知っていますし、このようなトラブルの影響で翌年の入学者数が一気に3分の1に減ってしまった学校もあるのです。
危機は突然訪れて取り返しのつかない爪痕を残すことがあります。
このような損失を防ぐためには未然防止策と危機発生時の対策を強化するしかないのです。
いま、あなたが決断し、実行しなければいけないことは何ですか?
この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。