さらなる環境変化への対応を
現在、コロナ禍により様々な対応に追われている学校が殆どかと思いますが、今後のリスクマネジメントとして学校が想定しておきたい環境の変化やそれに伴う対策の種類、考え方等についてお伝えしたいと思います。
◆想定外の環境の変化を認識する
思い出して頂きたいのですが、この新型コロナウイルス騒動が始まったのが昨年の2月初旬頃でした。(ダイヤモンドプリンセス号)
それから本日に至るまでコロナ禍は収束しておりませんが、現在の生活様式の変わり方は想定の範囲内だったでしょうか?
学校では殆どの場面でマスクの着用が求められていること、相次ぐ休校や学級閉鎖、部活動の停止、試合の中止や無観客、オンライン授業、ソーシャルディスタンス、短い卒業式、黙って食べる昼食等々…。
どれもコロナ騒動開始当初は想定できなかったことだと思います。しかし、コロナ禍における環境の変化(ハザード※)によるリスクが生じているため、上記の対策が現実化しているのです。
それでは、今後考えられる環境の変化にはどのようなものがあるのでしょうか? そして、その変化が起こった時に想定されるリスクは何であり、それが危機として顕在化した場合、学校はどのように業務を継続していけばよいのでしょうか?
また、業務が停滞してしまった場合はどのように最短で復旧させていけばよいのでしょうか? このようなことを一度真剣に考え、その結果を認識し、対応を準備しておくことで突発的な環境の変化に対応しやすくなると思います。
◆考えておきたいこと
参考までに今後考えておきたい環境の変化を挙げてみました。
・長期の停電になりインターネットが全く使えない状況になってしまう
・電話が不通になってしまう
・何日も連絡が取れない教職員が出てしまう
・多くの教職員が体調不良を起こし、通勤できない状況になってしまう
・校舎が使えなくなってしまう
・在校生との連絡が殆ど取れなくなってしまう
・学校の電子機器が全て壊れてしまう
・食材が不足して給食等が出せない状況になってしまう
・多くの在校生の学納金が未収になってしまう
・校内で急病人が集団で発生してしまう
・寄付金が殆ど途絶えてしまう状況になってしまう
・修学旅行が無くなってしまう
・入学希望者が大幅に減ってしまう
…これ以上のことも、たくさん想定できる(是非して頂きたい)と思うのですが、少し想像するだけでこれ位の環境変化の可能性は認識できると思います。
今回は現実味を持たせるために抽象度を下げて記載しましたが、災害、戦争、騒乱、強毒性の感染症、大規模テロ等も十分想定できると思いますし、逆に全く想定していないと最低限の備えもできないため、顕在化してしまった場合のダメージは大きくなってしまいます。
次のステップとしては、これらの環境の変化から考えられる学校のリスクを洗い出して評価し、対策まで落とし込むことができるとかなり効果があると思います。
※話し合うだけでも効果的です。
ここでは具体的なリスクの洗い出し等の方法については割愛させて頂きますが、学校としての最優先事項は大きな危機が生じた時でも授業が継続できる体制を整備(一時的に継続ができなくても最短で復旧できる準備)しておくことだと思います。
ポイントとしては、洗い出したリスクが顕在化しないように発生頻度を減らす対策や、顕在化した時でも影響度を減らせる対策を事前に想定しておくことです。
◆主な対策の種類や考え方
リスク対策の考え方や意味合いについては次の表を参考にして下さい。
◆リスクコントロール
◆リスクファイナンシング
洗い出した一つのリスクに対し、上記の切り口(リスクコントロールとリスクファイナンシング)でそれぞれの対策を検討していきます。
そうすると、たとえば、今まで学校として発生頻度を減らすための対策は講じていたものの、発生時の影響度を減らす対策が漏れていた、また、金銭的にかなり大きなダメージが予想されるリスクであるものの、リスク移転の対策が抜けていた…等に気付くことが出来るようになります。
これらのノウハウを学べる3時間程度の校内研修会(オンライン可)にご興味がある学校はこの機会にお問い合わせ頂ければと思います。何をすべきかという事が理解できると思います。
※ハザード=危険な環境や要因
この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。