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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
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クレーム回避はラポール作りから

保護者からのクレームに頭を悩ませている学校関係者は少なくありません。
度重なる電話や来校によるクレームは、日常の業務にも支障をきたします。クレームヘの初期対処を間違えて話がこじれ、裁判沙汰に発展するという危険とも隣り合わせです。
前回は、このようなリスクを回避するために、保護者とのラポール(親和状態)づくりが大切だという話をしました。
日頃からコミュニケーションをよくし、保護者の問題意識や価値観を把握しておくことで、問題が大きくなる前に、小さいうちから対処できるのです。

クレームを言う人の2つのタイプ


クレームの中には、「自分の子をどうしても選手にしてほしい」「来月から担任を変えてくれ」など理不尽な要求もあります。このような場合どうするかが、今回のテーマです。
激しいクレームを言う人には、2つのタイプがあります。1つは、もともとは普通の人なのに、状況がそのようなクレームをいう人に”育てた”という場合(Aタイプ)。もう一つは、そういう資質が”当初から”ある人(Bタイプ)の場合です。
クレームを言う人には、実は、Aタイプのほうが圧倒的に多いです。怒りにかられて激しい言葉で文句を言う人も、よくよく相手のことを知ってみると、穏やかなごく普通の人だったという場合が多いのです。
ごく普通の人なのに、ちょっとした行き違いがきっかけで話がこじれ、敵対関係になってしまう。こういう場合の解決法は、これまで述べてきたように、話をじっくり聴き、信頼関係をつくることが解決の糸口となります。
もちろん、日頃からコミュニケーションをよくして信頼関係を作っておけば、クレームの発生自体、ぐっと減るでしょう。



相手を肯定することが糸口に


問題は、Bタイプです。このタイプの人は、成育歴や家庭環境、仕事上のストレスや心的な問題など原因はさまざまですが、「自尊心が満たされていない」という共通点があります。ですから、話し合いをするときには、常に相手の自尊心を満たす言葉がけ(よいところを見つける、ほめる、肯定するなど)を意識することが大切です。
たとえば、相手の言うことを全ては肯定できないとしても「00については、あなたは絶対に正しい」「この部分は私には真似ができない。本当にすごいことだと思います」と、肯定的な言葉がけを大げさなくらいに強調するのです。そうすることで、相手は自尊心が満たされ、心を開くようになります。「やっとわかってくれたんだ」と涙を流す人もいる<らいです。
つまり、発生しているクレームのことよりも、相手が今まで感じてきた生きづらさや苦労、また一生懸命さを認め、言葉でフィードバックしてあげるのです。これをストロークといいます。
この段階を抜きにして、表面的な解決法ばかりを探っていても問題は永遠に解決しません。

はっきり伝える


Bタイプの人の中には、婉曲な言い回しや比ゆ的な表現をなかなか理解できない方もいらっしゃいます。このような人には、「お子さんのことでいろいろな問題がありまして」と言うよりも、「お子さんがいつ、どこで、このような問題行動を起こしましたので、このように改善してほしい」とはっきり伝えたほうがいい場合があります。学校としては、相手を刺激しないようにとの配慮から、オブラートに包んだような言い方をするのですが、このような人にとっては、「学校が持ってまわった言い方をして、何を言いたいのかわからない」となってしまい、トラブルを拡大させてしまうこともあるのです。
相手のタイプによってアプローチを変える相手の特徴をよく観察し、相手に合わせてアプローチの方法を変えることも重要です。
たとえば、ものごとを視覚的にとらえる人(視覚優位型)には、まわりくどい表現ではなく、目で見てぱっとわかる資料を用意したり、図を書きながら説明したほうが伝わります。
耳からの情報で物事を判断す人(聴覚優位型)は、論理的に話を進めるのが効果的です。理屈よりも行動ありきの人(体感覚優位型)は、まず体感をさせてから理屈を説明したほうが伝わりやすいです。
これらの方法で、信頼関係を築くことをまずは試みてください。それでも無理な場合や早く解決したいときは、専門機関に相談することも一案です。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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