体調不良者の増加リスクと情報収集のポイント
明けましておめでとうございます。
このニュースレターがお手元に届く頃にはお正月気分はすっかり抜けていると思いますが、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、今年はどのような年になるのでしょうか?
明るい希望を抱きながら、この一年を過ごしたいですし、特に教育現場はそうあって欲しいと心より願っております。
今回のニュースレターは希望ある一年を過ごすために、事前のリスクコントロールが必要な体調不良者の増加リスクと情報収集のポイントについてお伝えしたいと思います。
◆体調不良者の増加リスク
希望ある一年を過ごすためには、現実問題として、明るい希望の実現を阻害するリスクをコントロールしておかなければなりません。
リスクには様々な種類がありますが、今年特に注意して欲しいリスクは様々な病気を含む「体調不良者の増加リスク」だと考えています。
このリスクを洗い出し、評価をし、リスクマトリクスに示しましたが、発生頻度も影響度も極めて高い位置にあると私は考えています。(図1)
原因についてはコロナ禍に伴う様々な問題が大きなインパクトを与えていることは間違いないでしょう。
これを学校現場の実務に言い換えてみると「人員不足が更に深刻化する」と言うことになると思います。
リスクへの対策は発生頻度と影響度を下げることです。
要するに、このリスクが顕在化しないようにどうすればよいのか?
また、顕在化したときにどうすればよいのか? という2つの観点から打ち手を考える必要があるということです。
具体的には事前に人員を臨時で確保できるルートを開拓しておくことや、管理職を含む教職員に体調不良が発生した場合でも校務が維持できる体制を事前に整備しておくということです。
誰が抜けても代替要員が立てられるように校務分掌の共有化等を今から実施しておくことが踏み込んだ対策になってきます。
事前にこのリスクを想定していない学校はリスクが顕在化しても後手の対応しかできないため、対策の遅れがダメージの拡大に繋がることになるかもしれません。
一方、このリスクは教職員だけではなく、児童生徒等にも同様に想定されますので、突然の感情の変化や体調不良等が生じた際のケアを更に充実させておくことも必要です。
すでにこのリスクの顕在化は始まっていて、関連したトラブルの当機構への相談も増えてきていますので、今後優先的なリスクコントロールを講じなければ甚大なダメージを受ける学校が出てくると思います。
◆ 情報収集のポイント
昨年のニュースレター等でもお伝えしていますが、今年は更に、能動的な情報収集と帰納法的な意思決定が大切になってきます。
特にリスク情報の収集については信頼できる専門家やSNS(とりわけTwitter )を活用しない限り、本質的な情報へアクセスをすることが難しい時代になっています。
たとえ信頼できる専門家でも自身の専門領域以外の情報を広く収集できない場合には、折角の助言が逆効果になるケースが想定されますので注意が必要です。
それくらい「情報の見極め」が重要な時代になったということです。
自分がどの情報にアクセスできるかが今後の学校経営は勿論、教職員個人の「生命・身体・財産・精神」に大きな影響を与えることになります。
当然ながらこの影響は児童生徒等へ波及していきます。
情報収集力=危機管理力といっても過言ではないくらい、重要度が高いということを、この機会にご理解いただけると幸いです。
実務として個別のリスクについての情報を調べる場合、テレビや新聞、また、インターネットの検索エンジン等で調べても、それをすぐに結論とするのではなく、その結果を検証するために、Twitter等を活用して、当該情報を再検索してみると良いと思います。
これを繰り返すことでメディアリテラシーが高まるため、同様に情報収集力も高まってくると思います。
日常での何気ない判断は何気ない受動的な情報によって行われます。
しかし、その情報が間違っていた場合は、当然ながら、無意識に正しくない判断をしてしまっているのです。
人員不足の深刻化に備え、能動的な情報収集と帰納的な意思決定を行うことで、是非希望ある一年を過ごして頂ければと思っております。
※この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集し、加筆したものです。