少年犯罪の検挙事例等
待ちに待った夏休みも間近ですが、子ども達の「変革期」でもあります。長期休みの間に服装、姿勢、態度が変わるといわれています。まして成長期の反抗期にあっては、不良交友、SNSで知り合った見知らぬ人との交際などが高じて、あるいは興味半分から大麻などの薬物に手を染めたり、犯罪に巻き込まれるケースが後を絶ちません。特に、大麻の有害性の認識については、覚せい剤と比較すると大幅に低く、この認識の甘さが乱用の一端とも受け取ることができます。警察はじめ政府、各行政機関でも度々「薬物の怖さ」「薬物の恐ろしさ」などはメディア通じて呼びかけているところですが、各位が今一度再認識していただき、指導育成の一助になれば幸いです。
大人でもそうですが、人が見ていないところではつい弱音が出たりして、心が折れそうになることは当然です。それを実例で示しながら「言って聞かせる」など、事前の予防策も必要なことです。
折角いい方向に向かいながら、挫折する。これも成長する上で当然です。家庭でも、学校でもその成長期を手助けする。ちょっとのアドバイスが感受性の強い年頃には必要です。そんな思いで助言したらいかがでしょうか。
例年の統計では、夏休み後の9月ころから家出も多くなります。家庭と学校の連携も当然必要です。芽が小さいうち(服装の乱れ、乱暴な言葉遣い)から向き合って対処したいものです。
いじめ対策の意識改革について
深刻ないじめの重大事態の調査結果の公表に慎重なケースが多い実態が浮き彫りになった、という新聞記事がありました。
いじめ防止対策推進法施行から5年を経過した現在、「いじめ」を巡る問題は、当機構でも研修会や相談等において再三に亘って取り上げ、問題の解消策を支援してきました。
これまでの当機構で支援してきた形態を見る限り、初期段階で解決できるケースがほとんどです。
子供に対する虐待、いじめ問題が叫ばれて久しく、国会の場でも取り上げられ、さまざまな議論が繰り返し行われ、法整備も行われ、施行されてきたところです。
一方、ソフト面の「こころの空間」はいくら法整備を急いできたところでも、埋めることはできないでしょう。
それは、ただ対子供だけの問題だけでなく、生きた家庭での在り方、友人や学校などの直に接する周囲との在り方など多くの人々との接触の過程で起こりうる難問が山積し、それらが悩みの原点と言えるからなのです。
そこが感受性の強い思春期に最も求められる子供を平素の態度から、内なる「こころ」を知る姿勢、つまり家庭でも学校でもちゃんと向き合っているのかどうか、周囲の大人は一個人としての子供を知ることが大切ではないでしょうか。
これがおろそかになっているから問題行動が起こる、とは言い過ぎでしょうか。
両親の離婚による精神の不安定化、教師の経験不足による対処・指導不足などその背景はさまざまです。
法的手段対抗策を先行するあまり、現実の解決策がおろそかになっていないか、今一度考え見直すことも検討されてはいかがでしょうか。
少年犯罪の検挙事例
①市役所職員や銀行職員などを装って、保険料払戻名下でキャッシュカードを騙し取り、現金を引き出した高校生ら2人が検挙
②警察官や日本銀行職員等を装ってキャッシュカードを騙し取ろうした高校生ら4人が詐欺未遂で検挙③食事をおごってやったのに礼がない等と因縁をつけて、現金を脅し取ろうとして暴行を加え怪我をさせた高校生4人が恐喝未遂、傷害罪で検挙
④SNSで女子中学生と知り合った男性被害者を呼び出し、同男性会社員から現金等を脅し取った女子中学生らを恐喝罪で検挙
⑤地元の後輩に、挨拶がないなどと言いがかりを付け、暴行を加え怪我をさせた高校生ら4人が傷害罪で検挙
⑥バイクを利用し、自転車で帰宅中の女性の後方から接近し追い抜きざまに、自転車の前かごから現金やキャッシュカード在中の手提げバッグをひったくった高校生2人が窃盗罪で検挙
(警察発表統計資料、新聞記事参照)
新しい時代を迎えて
これまで、改元についてのさまざまな議論がなされた後、新たな時代がスタートしました。世の平和を思うのは常のこととして、自然災害はもとより、人権、環境などの問題に対処することは事前の策として当然のことです。
当機構も将来の日本を背負って立つであろう子ども達に少なからず影響を与える教職の立場にある皆様方の支援をしています。子どもへの教育は「将来への出資」でもあります。
子を思う親の気持ちは、誰でも同じです。その将来を担う子ども達を教育する機関に携わる関係各位に敬意を表するとともに、明日の日本を背負って立つ若者の教育者としてもっと自信と誇りを抱いて欲しいと願っております。
現実的には、学校を取り巻く環境は年々厳しくなっています。外的な要因としてインターネットの普及により、さまざまな弊害が引き起こされていることは言うまでもありません。
しかし、世の流れには逆らうことが出来ない現実を踏まえ、一つひとつ問題解決を図りながら対処しなくてはなりません。時代に取り残されないためにも現状をしっかり認識しながら日々研鑽を続けることが大切です。
私は、子ども達の「心の乏しさ」をどう回復していくかが大切であると考えております。これは、皆様一人ひとりにとっても大きな課題ではないでしょうか。
教職員一人ひとりが自己啓発することは当然のこととして、日本古来の他人をも労わる精神、すなわち「素直、感謝」のへりくだった倫理道徳教育と個々の「自己を高める教育」向上を願っております。
昨今の現状をみると、いじめや自殺問題をはじめとする問題が山積されているところですが、その問題解決に真摯に向き合っているか、何でも法的な解決策を急ぐあまり、現状認識の甘さを露呈し、問題をかえって難しくしている感は否めません。
もっと子どもの目線に立ったこどもの為の実践的な解決策を見出して対処することを願うものです。
皆様一人ひとりがその問題に向かい、原因の根底(取り巻く環境)を探って真実(本心)を引き出し、そして一人よがりに悩み、終始することなく、学校全体、引いては教育界全体の問題であることも前提に、経験豊かな先輩教職員や管理職、また、第三者を巻き込んだ対応策が望まれるところです。
この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。