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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
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少年を取り巻く非行問題 後編

前回に続き、近年の子供の環境をめぐる問題についてお話ししたいと思います。

軽な気持ちの落とし穴 「JKビジネス」


携帯電話やインターネットの普及によって、繁華街を中心に女子高校生らによるマッサージ、会話やゲームを楽しませるなどの接客サービスを売り物とする営業が見られ、これらはいわゆる「JKビジネス」と呼ばれています。
一見すると問題のないアルバイト先に見える場合でも、女子高校生達が客から児童買春の被害に遭うなどのケースが目立っており、児童買春の温床とも指摘され、法や条例の取り締まりの規制対象になるなど、働くことは大変危険です。
都内繁華街で「JKビジネス」にかかわり、店舗で補導された、アルバイトの15歳から17歳の少女に対する警察のアンケート調査によると、働く目的はコンサートチケット代など「遊興費」が最も多く、洋服や化粧品などの「物品購入」、「生活費」などが続き、月に50万円以上稼いだ少女もいたといいます。
東京都内では約40業者が、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで客を誘って「散歩」や「リフレ」をさせていて、少なくともこのようなビジネスは、東京都内のほか、神奈川、愛知、大阪でも確認されています。
この夏休みの時期、ちょっとしたやりとり、誘惑が思わぬ落とし穴とならないよう家庭はもとより、学校でも「問題行動や兆候」には気を付けたいものです。
これらの危険信号があった場合は、大事に至る前に警察の少年相談所を活用したりするなどの手当てが必要です。

目立つ児童ポルノ「自画撮り」被害


昨年1年間に警察が摘発した児童ポルノ事件の被害者は1,313人で、前年より45%増加し過去最多でした。中でもスマートフォンで撮った自分の裸の画像を送らされる「自画撮り」の被害が急増し、SNSなどで同年代の子供を装って接近し、画像を送らせる手口が目立っています。


また、法律で禁止されている子供のわいせつな画像を撮影する「製造」罪が約60%を占め、被害者の年齢別では中学生が最も多く、次いで高校生、小学生も39人いました。90%以上の被害者が中・高校生で、面識のない相手に画像を送らされていました。
相手と知り合う手段は、「ツイッター」や「LINE」などがほとんどでした。

増加傾向の「児童虐待」


全国の警察が児童虐待の疑いで、児童相談所に通告した18歳未満の子供は約5万4,200人(前年比46.5%増)に上り、12年連続で過去最多を更新したことがわかりました。発表によると、子供に「死ね」と暴言を吐いたり、刃物で脅したりする「心理的虐待」が3万7,183人で全体の約70%を占めています。
この心理的虐待のうち、最も多かったのが、子供の前で配偶者らに暴力を振るう「面前DV<ドメスティック・バイオレンス>」でした。
このほか、直接暴行を振るう「身体的虐待」、食事を与えず放置するなどの「ネグレクト<育児放棄>」、「性的虐待」があり、虐待の加害者は、実父に次いで、実母、養父・継父、母の内縁の夫の順で多い状況でした。
平素の本人の行動、態度や家庭との連絡過程において、児童虐待と思われる事案を察知したらすみやかに管理職に報告し、警察や児童相談所などの専門窓口を活用することが重要です。

~ 「決まりやルールを守る子」に育てるために ~


万引きという犯罪に容易に手を染めたり、携帯電話やインターネットの普及によって、いろいろな事件・事故に巻き込まれるなど、ちょっとした油断で犯罪者や被害者になる可能性があります。
これらの状況下で、「自らを大切にできる子」を育てることが、以前にも増して求められるのではないでしょうか。

①自己評価の高い子
万引きなどの罪を犯してしまった少年の中には、「自分はダメな人間」「どうせ頑張ったってできっこない」などと、自分に対する評価が低い子が少なくないようです。
自己評価が低い子は、自信を失い、「どうでもいいや」という投げやりな気持ちから、例え法律に触れることでも、友達の誘いや目先の興味のまま行動しがちです。
一方、自己評価の高い子は、自分を大切にしようとする気持ちから、自分をダメにすることは極力避けようとします。
自己評価を高めるためには、勇気づけたりして達成感を持てるように支えたり、「良いところ」を沢山見出し、褒めてあげることによって自信につなげることが大切ではないでしょうか。

②善悪の判断ができる子
「学校の規則を破る」「人の物を盗る」といったことは、悪いことだと思っている子がほとんどです。
しかし、友達から誘われたり、どうしてもガマンができず、「悪いこと」と知っていても、結局、決まりやルールを破ってしまう子が少なくありません。「悪いことは絶対に し な い 」強い意志を持った子供に育てていきたいものです。
(参考:警視庁資料及び報道資料)



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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