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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
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少年非行の実態(後半)

前回に続き、少年犯罪について、その現状と、対策について、お話ししたいと思います。

少年の福祉を害する犯罪の特徴的傾向(東京都内)


近年増加している、インターネットに起因する福祉犯被害の傾向を以下にまとめてみました。

①被害少年の多くが、「児童買春・児童ポルノ禁止法」や「青少年健全育成条例」の被害少年である。
②少年が福祉犯罪の被害に遭う事案のほか、インターネット上への不適切な書き込みや画像等の投稿により、少年が検挙される事案も発生している。
③「コミュニティサイト」に起因する被害少年数は高水準で推移しており、被害事例をみると、多くの少年がインターネットで知り合った者と接触することに抵抗を感じていないほか、コミュニティサイト上における個人情報の公開や、不正なアプリのダウンロードによる端末利用者情報等の外部送信の危険性に対する認識が希薄であることがうかがえる。
④アクセス手段の多くがスマートフォンであるが、被害少年の保護者の中には携帯ゲーム機や携帯音楽プレーヤーでもインターネットを利用できることを知らない者もいる。

福祉犯被害事例


〇当時15歳の女子児童(中学3年生)が、コミュニティサイトで知り合った男から、現金3万円をもらう約束のもとラブホテルでわいせつな行為をさせられた。
〇当時14歳の女子児童(中学3年生)が、コミュニティサイトで男から執拗に裸の写真を送るよう要求され、自分の裸を携帯音楽プレーヤーで自画撮りさせられ、その画像データをメールで送信させられた。
〇家出中の当時16歳の女子児童(無職)が、コミュニティサイトで知り合った男に売春婦として働かされた。
〇当時17歳の女子児童(高校2年生)が、いわゆる「JKビジネス」の店舗内で、裏オプションとして遊客を相手に性的サービスをさせられた。

福祉犯被害事例からの考察

被害少年の多くは、インターネットの向こう側にいるのはどんな人かを推し量る想像力や、悪いことを企んでいる人ではないか、といった危機意識が希薄です。また、児童ポルノ画像等の情報を一度インターネット上に情報発信すると、回収不能であることを理解・認識している少年は少ないです。
インターネット及びスマートフォン利用における心掛けについて適切な指導を行うことが必要です。
また、通信事業者各社にはトラブル防止のため「迷惑メール撃退サービス」や有害サイト等へのアクセス制限がかかる「フィルタリングサービス」など、様々なサービスがあるので、契約の際に確認し、活用を図ることが大事です。

保護者に伝える
家庭でのルール作りのポイント

・子どもにスマホ等を持たせる理由や目的を明らかにする
・使用時間を決めるなど、家庭に応じたルールをつくる
・子どもの発達段階に応じて、ルールの見直しをする
・ルールを破った時のルールも決めておく
・子どもと話し合って作ったルールは記載して、視認できるように部屋に貼っておく
・保護者も子供の手本となるようルールやマナーを守る


少年事件の流れ(概要)

ここで、少年事件の流れをまとめておきましょう。
〇犯罪少年
禁固以上の刑に当たる罪を犯した少年は、警察から地方検察庁に事件送致し、少年鑑別所で資質鑑別を経た後、家庭裁判所の審判で保護処分(少年院、保護観察など)が決定する。少年事件は保護処分が優先であるが、審判で「刑事処分相当」の決定の場合は検察庁に戻され、成人と同様に正式裁判となる。
罰金以下の罪を犯した少年については、家庭裁判所に事件送致され、児童相談所などで措置が決定される。
〇虞犯少年
将来罪を犯す虞のある14歳以上18歳未満の虞犯少年については、家庭裁判所や児童相談所などに送致(通告)され、前同様保護処分となる。

背景と対策


少年非行や福祉犯罪の被害となり得る背景には、社会的基盤が緩い少年にとっては家庭をはじめ本人を取り巻く環境に非常に左右されることは言うまでもありません。


前半(7月号vol.27)の統計資料からも推察されるとおり、遊び・スリル感覚での万引きはじめ、乗り物盗(窃盗)、そして非対面の空間におけるインターネットやスマートフォン、SNSなど、家庭はもとより学校、少年を取り巻く関係行政機関においてもその継続的な指導、支援対策が叫ばれるところです。
最近においても、佐賀県下における高校生による教育情報システムサイバー攻撃事件や、茨城県下における高校生による殺人事件など社会的反響のある重大事件が相次いでいます。
これら大小なりとも現実に起こりうる事案に対し、保護者や関係機関と連携を密にすることはもとより、あってはならないことではありますが、いつ、どこでも発生するリスクがあることを念頭に、平素から保護者対策、マスコミ対策のノウハウを知っておくべきことを付け加えたいと思います。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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