教師のいじめ問題について
台風19号が過ぎ去り、徐々に被害が明らかになってきていますが、不幸にも亡くなられ、また被害に遭われた方々に対して、ご冥福をお祈りするとともに心よりお見舞いを申し上げます。
今回のニュースレターは、神戸市の教師のいじめ問題に触れてみたいと思います。
「おぞましい」という言葉は普段の生活の中ではあまり使わないと思うのですが、今回の件に関しては、この「おぞましい」という言葉が当てはまるのではないでしょうか。
このいじめの被害映像は様々な媒体で出回っていて、インターネット上には加害者の指名や経歴等の情報も確認することができます。教育関係者、特に管理職はテレビや新聞等の受動的な情報だけではなく、自らインターネット等を用いて、加工・編集されていない一次情報にも触れて頂きたいと思います。自分で能動的に情報を入手した上で、テレビや新聞等の二次情報と比較検討し、現状を捉えてみるとよいと思います。それは、不足している情報や加工されている情報から解決策を考えたとしても、その効果は限定的だと思いますし、下手をすると解決策を間違ってしまう恐れがあるからです。
インターネットを含め、各種媒体には、希望的観測を事実のように発信している場合や媒体の方針に沿っただけの偏った情報、さらには文字数によって制限された情報等も数多く存在しているものです。その中から自分なりに分析をした上で現状を捉え、解決策を考えて頂ければと思います。そして、このニュースレターを見ているあなたが、もしこのようないじめを行っている加害者であれば直ぐにやめてください。
また、あなたが被害者であれば直ぐに大きな声を上げてください。今が絶好のタイミングだからです。
さて、今回のいじめの内容についてですが、記者会見や各種報道によると、加害者側は激辛カレーを被害者に無理やり食べさせ、目にそのカレーを擦りつけていたとのこと。また、児童に対し「反抗しまくって男性教諭の学級を潰したれ」と学級崩壊を促す言葉をかけていたようです。(女性教師)加害者の一人である30代男性教師は過去に男子児童を突き飛ばし、右腕を骨折させていたこと等も明らかになっています。
さらに新たな情報によると、この加害グループは、別の20代男女の教師らに対して、わいせつ画像の送信を強要していたことも判明しています。
このように多数の「おぞましい」出来事が明らかになってきていますが、それでもまだまだ氷山の一角であり、私はもっと辛辣なことが被害者に対して行われている可能性もあると思っています。このように児童まで利用して集団で行われる教師へのいじめを許してはいけないと思うのは当然のことなのですが、最近では加害者側が金銭を授受しながら、いじめを行っている信じられないケースを見聞きします。
今回がそうであるとの話ではないのですが、そのような常識の枠には収まらない同様のケースもあるのです。そして、このようなケースが教育現に蔓延しているリスクもゼロではないということを併せて知って欲しいと思っています。
学校は日本社会の縮図といわれています。当然、このようないじめ問題は学校に限った話ではありません。しかし、少なくとも教育業界だけは、この問題をなくさなければいけません。
学校が教師へのいじめを放置しておきながら、児童にはいじめは駄目だと指導し、さらには教師いじめに加担させているなど笑止千万です。
これでは子ども達への説得力は皆無ですし、指導力も下がってしまうことでしょう。いじめを推進する教師に指導された子ども達は将来どうなってしまうのでしょうか?百歩譲って、加害者側がいじめをせざるを得ない環境にあったとしても、そんなことは一切関係なく、駄目なことは駄目なのです。善悪の判断ができない時点で不適格です。これは教師としてだけではありません。
今回のいじめに加担した教師や関係者には厳罰を望みますし、二度と教壇に立たせてはいけないと思います。被害者の教師が警察に被害届を出しているとの報道があるので続報を待ちますが、警察には聖域のない本質に切り込んだ捜査を進めて頂きたいと願っています。
最近は児童・生徒等に加え、教師のいじめやパワハラ、また、セクハラ等を通報するための窓口を学校内に設置する動きがあるのですが、その窓口に加害者側の人間が事前に隠蔽目的で入り込んでしまっている状況も散見されます。これでは折角通報してもすべて揉み消されてしまうので、関係者はこのようなことも知っておいて下さい。
私が知る限り、こういったおぞましい教師いじめに一部の保護者がさらに加担している事案もある位ですので、本当はここまで考えてもまだまだ足りないと思っています。学校が講じられる対策の第一歩としては、事実関係を明らかにした上で、内部の通報窓口を設け、更に信頼できる外部の弁護士事務所等への通報窓口を併せて設置することだと思います。そして、これらの窓口が機能していることを定期的にチェックすることが大切です。是非、設置を急いでいただければと思います。
当然ですが、私は教育の場では、このようなことは絶対にあってはいけないことだと思っています。児童・生徒等への心的な影響があまりにも大きいと思いますし、発生した児童・生徒等のいじめに対して、教師が堂々と指導できなくなってしまうことが憂慮されるからです。そういった面からもこの事案の影響は非常に大きいものと思っています。
この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。