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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
学校リスクマネジメント推進機構

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新年の開始にあたって/ 鈴木彰典

 明けましておめでとうございます。
 学校リスクマネジメント推進機構の鈴木彰典です。旧年中は当機構の取組にご理解・ご支援を賜りまして、心より厚く御礼と感謝を申し上げます。

 

 コロナが5類になり、初めて迎えたお正月でしたが、活気あふれる学校づくりに向けて新たな目標を立てられたことと思います。
どの学校(園)も目標達成に向けて邁進され、充実した教育(保育)活動が展開されることを願っております。

 

昨年を振り返りますと、コロナ前とコロナ後では保護者のクレーム対応の件数と質が大きく変化して来ていることを感じました。
このことは、今までと同じような対応は通用しなくなっていることを物語っています。


 どの学校(園)でもクレーム対応はあると思いますが、目標をどのように設定するかによって、精神的にも時間的にも全く状況が変わっていくはずです。

今号では、初期対応を中心に具体的なことをご紹介したいと思います。

 

◆クレームの初期対応

クレームの初期対応に成功すると、約8割のクレームは収まると言われております。
そこで、初期対応では、どのようなことを心掛ければ良いのでしょうか。

 

 

 まず、クレーム対応を行う場合は、「クレームを拡大させない」という目標を設定することが大切です。

クレームを拡大させないというのは、訴えてきた時よりも悪化させないということです。
学校の対応に不備がありますと、警察に連絡したり、弁護士に連絡することになります。
これは悪化になります。

 

 

 クレームを訴えて来た時の保護者は、怒っています。
怒っている人は理解力・思考力・判断力がありません。

 

本能と理性では本能が優位です。
攻撃的で防衛的です。

 

そこで、クレームを拡大させないという目標を設定しましたら、「限定的謝罪」「話を聴く」「言い訳をしない」ことを実践していただきたいと思います。

 

 「限定的謝罪」とは、責任論以外の謝罪です。

 

例えば、運動会(体育祭)の練習中に児童生徒等が大ケガをして保護者の方が来校(園)された際に、「大切なお子様をケガをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした」と謝罪したり、電車がトラブルで止まってしまった場合に、車掌さんが「只今、〇〇駅でトラブルが発生しましたので、電車が止まっております。

 

お急ぎの所、大変申し訳ございません」と謝罪することです。
ケガやトラブルが起きた責任には触れないで謝罪をすることです。

 

ところが、意外と出来ていないケースもあるのではないでしょうか。

 

保護者の方からクレームの連絡が入った時に、管理職や担任の先生が不在で、たまたま電話口に出た方が、「私に言われても・・・」「私は聞いていないので・・・」というような対応をすると、保護者の怒りはますます拡大します。

 

このような場合に限定的謝罪が出来ると、保護者は話を受け止めてくれる学校だ、話を聴いてくれる先生だと評価が変わります。

 

皆様の学校(園)ではいかがでしょうか。

 

 次に、「話を聴く」ことですが、良い点が2つあります。
1つ目は、怒っている原因を理解しやすくなります。
2つ目は、相手がスッキリすることです。

 

初期対応中は、質問する時以外は、話をしないことが大切です。
話を聴くことでクレームは収まっていきます。

 

このような状態になったら、「この度は申し訳ございませんでした。

 

他に何かございましたら、おっしゃってください」となり、保護者との関係が良くなっていき、些細なことでも学校に連絡してくれるようになり、学校の味方をしてくれる存在になるかもしれません。

 

 

 次に、「言い訳をしない」ことですが、正当性を主張しないということです。

 

初期対応中は、どんなに正しいことを言っても本能を刺激する(攻撃する)ため、逆効果になります。

 

それは言われたくないということがあります。
事実を伝えるのは、怒っている状態から普通の状態になってからでも遅くはありません。

 

 

 「限定的謝罪」「話を聴く」「言い訳をしない」ことを行い、保護者の方の怒りが鎮まり、理解していただきましたら、状況によりクレームへのお礼をお伝えする方法もあります。

何故、お礼を伝えることが必要なのかと言いますと、お礼を言われて怒り続けられる人はいないからです。

 

 

「クレームは宝の山」と言われています。
学校が気がつかなかったことを指摘していただき、その後の学校(園)運営の改善に役立てることが出来るようになるからです。

 

 

 クレームの初期対応を中心に述べましたが、先程も触れましたように約2割は収まらないケースも見られます。

 

学校のトラブルが原因で、子どもが自ら命を絶ったと保護者の方が捉えているような重大な事故が起きた場合は、相当困難な対応を覚悟しなければなりません。
しかし、「限定的謝罪」「話を聴く」「言い訳をしない」という基本姿勢を持ち続けることは大切です。

 

保護者の心に寄り添った対応を積み重ねていくことで、全く受け入れてくれなかった状態に風穴が開き、少しずつ前に向かうことが可能になると思います。

 

 今年も皆様の学校(園)にトラブル等が起きた際は、迅速に対応させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 


※この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。編集者 元公立小学校・中学校 校長 鈴木彰典


 


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