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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
学校リスクマネジメント推進機構

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今回のニュースレターはメディアリテラシーについての私の意見や参考情報をお伝えしたいと思います。 私は今日ほどメディアリテラシーの重要性が問われている状況は無いと思っています。
このリテラシーが無いと非常に不利益を被ることになり、結果的に命を落とすケースにも繋がる可能性があると思うからです。私は26年間、人の生命・身体・財産・精神等に係る危機管理の世界で生きてきましたが、決して大袈裟な話をしているのではなく、現実をお伝えしているつもりです。

◆巨額の資本を有する企業グループ


現在、私は学校だけに特化した支援を専門的に16年間行っておりますが、当機構を立ち上げる前は、10年間、2つの危機管理会社で日本の有名企業や巨額の資金を有する外資系投資ファンドグループ(所謂、ハゲタカファンドです)等に関する危機管理の支援を行っておりました。そこでは主に企業や競売物件を含む不動産に関するリスク情報の収集や分析、また、様々な実務的な危機対応を行うなど幅広い業務を経験いたしました。

当時を振り返ると外資系投資ファンドグループの危機管理の次元は日本企業とは桁が違いました。具体的な事例については少し刺激が強すぎるので、この紙面で記述することはできないのですが、自社のビジネスに有利になる情報があると、時にはその真偽を問わずに市場へ流すこともあると思いますし、自社の利益を得るために必要な企業の情報については細部まで収集してそれを活用していくのです。
情報を流すルートは巨大な資本があれば多くのメディアや人脈を使うことができますし、その後の不動産や企業買収の契約についてはまさに「容赦なし」で実行されます。
契約の過程には様々な人間模様もあるのですが、そこには人としての情はほとんど介在しておりませんでした。安く買って高く売る。そのための方法を考え、無機質に実行する。それだけです。

当時、海外から日本に入ってきた「コンプライアンス=法令や社会規範等を守る」という言葉がありましたが、若かった私はこの外資系投資ファンドグループのビジネス手法に強い衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。利益を得るために、まさか、そこまで、、、ということが平然と行われるのですが、買収された日本企業がこのような文化の違いを想定していなかったことが脇の甘いところだと指摘する人もいます。(あくまでもその手法は合法であり、全ての案件ごとに専任の弁護士が必ず就任していました。)

◆メディアリテラシー


さて、ここで本題に話を戻しますが、そもそも「メディアリテラシー」とは一体何なのでしょうか。ちなみに広辞苑には「メディアの伝える情報を批判的に判断・活用し、それを通じてコミュニケーションを行う能力」との記述があります。
アメリカのCML(Center for Media Literacy)の設立者のトーマンは、メディアリテラシーの5つのコンセプトを次のようにまとめています。(※テレビというメディアのみに焦点をあてたもの)

1. All media messages are “constructed.”
→メディアのメッセージはすべて「構成された」 ものである

2. Media messages are constructed using a creative language with its own rules.
→メディアのメッセージは創造的言語とそのルールを用いて構成されている

3. Different people experience the same media message differently.
→多様な人々が同じメディアのメッセージを多様に受け止める

4. Media are primarily businesses driven by a profitmotive.
→メディアは主に利益を動機としたビジネスである

5. Media have embedded values and points of view.
→メディアは価値観と視点を※含んでいる
(若しくは、※はめ込んでいる)

さらに日本のある識者は「ほとんどのメディア・メッセージは、力や利益を得ることを目的として作られている」「メディア企業には公益性もある一方、株式会社である以上、利益を得ることを目的としている面がある」等と述べています。
https://globe.asahi.com/article/13918604

一方、最近ではメディア自体がメディアリテラシーを語る場面があるのですが、そのような場合には特に十分な情報の見極めが必要であると思っています。

私はメディアを有益だと思っているので、その存在自体を問題にしているのではなく「自分にとって有益な情報やそうではない情報を適切に見極め、それを日常に生かす力がないことが問題」ということを言いたいのです。これは子供を預かる学校や教職員にとっては非常に重要なことだと思います。

あなたの目の前のメディアでは日々、どのような情報が頻繁に流れているでしょうか?

無意識にただその情報を鵜呑みにするのではなく、ここで少し立ち止まって冷静に考えてみて欲しいのです。
たとえば、その情報に関するお金の流れを自分なりに追及してみるという考え方があります。結果的に誰が得をするのか?また、そもそも、このお金はどこから出ているのか?というようなことです。つまり、フォロー・ザ・マネー(Follow the money)です。

お金は生活をしていく上で大事なものですが、世界には人口問題や環境問題など他にも非常に大事なものもあります。最近では感染症等に関する様々な情報も溢れかえっていますが正しい情報をしっかり見極めることが今こそ求められているのです。

もしかすると、これからの世の中は我々の想像を絶する世界になるのかもしれません。(既にそうなっている部分もありますが)このような中で重要なことは「今までの常識を疑ってみる」ということだと思います。言い方を変えると「想定外を想定する」ということです。

メディアリテラシーを高めることは本当に重要なリスクマネジメントです。
情報を見極めるのはあなたです。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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