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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
学校リスクマネジメント推進機構

ニュースレターWEB


保護者クレーム対応 初期対応 実践編➁

今回のニュースレターWEBは、保護者クレーム対応 初期対応 実践編②です。
前号は実践編①として、クレーム対応に目標を設定することや初期対応の三原則、また、クレームへのお礼等について説明をしましたが、今回の実践編②では、コミュニケーションの質を高めるちょっとした技術、メラビアンの法則を知る、理不尽な保護者への対応のヒントについて、要点や重要な考え方をお伝えしていきます。

◆コミュニケーションの質を高める ちょっとした技術


コミュニケーションの質には、技術と人間性という二つの要素があります。技術とは、人当たりのよい表現方法などのノウハウです。同じことを言っても、人から好感をもたれる人と持たれない人がいますが、ぜひ、人から好かれる話し方を追求してほしいと思います。特にクレーム対応時には必須の技術です。
次の言葉を使わないだけでもかなり印象が良くなりますので実行してみて下さい。

表1
1 だけど…
2 でも…
3 しかし…
4 ですから…
5 さっきも言いましたが
(=何度同じことを言わせるのだ)


これらは無意識に相手を否定する時に発せられることが多い言葉ですが、日常的に使っていないでしょうか?このような言葉は怒っている保護者の怒りを増幅させやすいので、これを知っていることは大変重要です。
しかし、表1の言葉を使わないと困ってしまう場面もあるかと思うのですが、代用できる言葉はあるのでしょうか?
ここでは、次の二つの言葉を覚えて頂ければと思います。文脈をあまり気にせず、使ってみると良いと思いいます。

表2
1 そして…
2 その上で…


表1の、だけど…、でも…、しかし…、などではなく、表2の言葉を適宜使いながら話をすることで、保護者は頭ごなしに自分が否定されたとは思いにくくなり、さらに、自分の意向を理解してくれていると感じやすくなるため、怒りを増幅させる頻度が減ってくると思います。

例)
○ しかし、学校としては〇〇だと考えています。
× そして(その上で)、学校としては〇〇だと考えています。

一方、このような技術だけでは直ぐに「あの人、口先だけね」と思われてしまうこともあるので、日々、人間性も併せて磨いていただければと思います。逆も然りで、人間性が豊かでも表現方法を知らないと、保護者に勘違いをされてしまうので、あなたの思いが伝わりにくくなってしまうものです。

◆メラビアンの法則を知る


これはアメリカの心理学者、アルバートメラビアンが1971年に提唱したものなのですが、人は相手からのメッセージ方法に矛盾がある状況では、55%を顔の表情やジェスチャー、服装などの視覚情報から判断し、38%は声のトーンや口調、大きさなどの聴覚情報で判断します。そして、言葉そのものの意味や内容などの言語情報については僅か7%しか相手に影響を与えないというのです。
たとえば保護者に謝罪する場合でも、言葉(7%)でいくら「すみません」と言っても声のトーンが棒読みだったり、態度が横柄だったり、笑っていたりしたら、相手は全く謝られているとは感じないということです。

表3
55% (視覚) 見た目、ジャスチャー
38% (聴覚) 口調、トーン、話す速さ、大きさ
7% (言語) 言葉、内容


保護者対応では、どんなに正しい説明や謝罪の言葉を述べても、その時の声のトーンや抑揚が適切でないと、逆に反感を持たれてしまいます。これまで、何度謝罪しても、何度説明しても、保護者から理解が得られない経験をしている方も多いと思いますが、これがその理由の一つです。
この状態を保護者の視点で考えてみると、教員が自分に謝罪をしているのか?それとも反論をしているのか?という矛盾が生じているので、表3のような割合で伝わってしまうのです。たとえ教員に悪気が無くても、相手がどう感じるのか?ということだけで判断されてしまいます。何を言ったか?という言葉の内容だけではなく、視覚や聴覚にどのような影響を与えたのか?ということが大切なのです。

◆理不尽な保護者への対応のヒント


我々の会員からの相談で「保護者から非常にハードで理不尽なクレームを継続的に受けていて、教員が何名か潰されている」との相談があるのですが、このような相談を何度も受けていると、共通している傾向が分かります。それは組織として「押し込まれてしまっている」と言うことです。要するに保護者の言いなりのような感じです。しかし、さすがに全て言いなりという訳ではなく、影響が少ない要望を最終的に聞き入れて落としどころにしているということです。また、このような対応が組織的に数年間繰り返されていることも多く見受けられます。

これを無意味な妥協でクレームを治めている、と言ってしまえばそれまでですが、学校がこれを続けると保護者が小さな成功体験を学習してしまうことからクレームと言う行動が強化されてしまい、次回の要求が益々エスカレートするのです。結果的に前回よりも学校に対する最初の要求レベルが高まるため、最終的な落としどころのレベルもいつの間にか高くなってしまうので、無意味な妥協の範囲を超えてしまいます。こういった悪循環に陥っている学校は、たとえ学校側に落ち度があるとしても、「義務のないことを受け入れる必要はない」ということをしっかりと覚えておくと良いと思います。
そして、それだけではなく、このことを毅然とした態度と言葉でその保護者へ伝えることが大切です。「理不尽な保護者の反応は、今までの学校側のコミュニケーションの結果から作られていることが多い」ということも認識する必要があります。
結果を変えたい場合は、このような保護者に対するコミュニケーションを変えてみるのです。これまでと同じ対応をしていると、いつまでも同じ結果を招いてしまいます。理不尽な保護者へのコミュニケーションを毅然としたものに変化させましょう。

今回のニュースレターは前回同様、初期対応の基本を抜粋し、ご説明をさせて頂きました。現在のコロナ禍での保護者対応は本当に大変だと思いますが、まだまだコロナ禍は続くと思っています。保護者対応の基本を詳しく学びたい方は当機構のホームページにある「すごい!保護者クレーム対応マニュアル」を参考にすると理解が深まると思います。
https://www.relief-point.co.jp/book3/index.html



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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